日本でのマナー ~中国人旅行者のための

 · はじめに

広大な地域に暮らす中国人とは異なり、日本人は、閉じられた島国のなかで暮らしてきました。そのため、定められた法律にしたがうこと以上に、普段の生活のなかで、仲間内で暗黙のうちにつくられてきたマナーを守ることを大事にしています。これがしばしば、海外から訪れる人を当惑させます。しかし日本にいるときには、誰であっても、暗黙のマナーを守らないと、顰蹙を買うことになります。

他の人が誤った行動をしていても、日本人はそれを指摘しません。他の人から何かを言われなくても、自らマナーを守ることも、守らなければならないマナーなのです。日本人がよく言う「空気を読む」(暗黙のルールに従う)ことが必要です。

ここでは、日本にいる際の、暗黙のルールやマナーのいくつかを紹介します。これらのルールやマナーを守ることで、日本人は、あなたに好感をもつことでしょう。あなたが日本で快適に過ごし、旅を楽しむために、以下のようなことを知っておくことが大切です。

 · 電車でのマナー

電車でのマナー

電車に乗るまでは、ホームで列をつくって待ちます。待つときの列の数や場所は、駅によって異なりますから、周囲をよく見て、他の人達が並んでいる通りにします。列に割り込むことは、日本人の気分を非常に害します。絶対にやめましょう。

車両の乗り降りの際、降りる人が先です。降りる人が全員降りてから、順番に乗り始めてください。

日本には、中国の十分の一以下の人しか住んでいません。日本では、概して、他の人と競争し、人を押しのけて生きていく習慣は希薄です。

車両のなかの行動

車両のなかで、目立つポーズをとって写真を撮ることは、してはいけません。日本人は、他の人と違う行動をとる人を、自分だけ「目立ちたい」人だと感じ、好ましく思いません。こうしたことを日本語で、「出る杭は打たれる」と表現します。

人には恭しく、自分は慎ましくする人が好まれるのです。孔子の説いた「恭倹」が、日本の学校でも教えられ、その態度が日本人に浸透しています。

お年寄りや身体の弱い人などが車両にいるときには、席を譲りましょう。「優先席」かどうかにかかわらず、席を譲るのがマナーです。日本人は、これができる人を尊敬し、信頼に値する人だと思うでしょう。

お腹に赤ちゃんがいる、白い杖をもっている、といった場合は、妊娠している、目が見えない、といったことが分かりますが、なかには、見た目では病気かどうか分からない場合もあります。そのような人であっても、自分から「席を譲ってください」と言う人はあまりいません。そのような人は、下のような「マーク」を、服やカバンにつけていることが多いので、そのマークを見たら、席を譲ります。(下の図は東京都のウェブページからとりました。)

 · 写真や動画のマナー

旅行の記念に、写真や動画をたくさん撮りたいかもしれませんが、いつ、どこで撮ってよいかにも、いくつかの暗黙のルールがあります。

景色を写したいときに、そこにいる人が写らないようにしてください。日本人は、たとえ公開しない写真・動画であっても、自分の顔が写り込んでしまうことを好みません。また、自分の名前や住んでいる地域、あるいは、どこにいたか、誰と一緒に暮らしているかなどを、他の人に知られないようにしています。ほんの少しでも、誰であるかのヒントになるようなことがあれば、決して公開してはなりません。

どうしても誰かの写真・動画を撮りたいときには、「撮ってもいいですか?」と聞きます。許可を得ずに撮ると、プライバシーを侵害したと見なされます。

電車が走っているところを撮りたい場合もあると思います。なるべく、運転手や車掌なども含めて、人の顔が写らないようにしてください。また、電車がきていないからといって、線路に入ったりすることもご法度です。

写真を撮ってよい所には、暗黙の決まりがあります。例えば、下のような写真を撮ることは、二つの点で良くありません。何が駄目だと思いますか?

注:掲載の写真は、AI生成のフリー素材(ぱたくそ、AIPIX作)で、本物ではありません。

まず、この神社で働いている人だからといって、許可を得ずに写してしまうことはご法度です。人を写してしまうと「肖像権の侵害」という罪に問われることもあります。

もう一つの大切な決まりがあります。奥の建物は、神様がいると言われる場所です。神聖な場所ですから、無暗に写真を撮ってはなりません。中国人のなかには、他の建物と同じように神聖な場所を撮ってしまう人が多いので、注意が必要です。

このような場所では、騒いだり遊んだりせず、慎み深く振舞うのがマナーです。

 · ゴミの問題

よく知られた日本語のことわざに、「立つ鳥跡を濁さず」があります。水鳥が飛び立ったあとも、水が泥で汚れていることはなく、澄んだままです。このことから、自分が立ち去るときに、あとにゴミなどを残さないのが良いことの譬えになりました。それまでの学校や仕事などを去るとき、人間関係が変わって人と別れるとき、旅行から帰るときなど、物も心も整理して片づけ、きれいな状態にしておかなければならないという、戒めの言葉です。

中国からの旅行客が、日本で大変問題になるのが、中国人にこの習慣がないことです。ホテル、キャンプ場、レストラン、通りなど、中国人旅行客の立ち寄ったところには、たくさんのゴミが残されていて、片づけられていません。

日本には、鉄道の駅や公園、あるいは通りに、ゴミ箱があまり置かれていません。そこで、日本人は、あまり外でゴミを出さないようにしたり、外出するときにゴミ用のビニール袋(プラスティックの袋)を持ち歩いて、ゴミを家に持ち帰るようにしたりします。

これは、中国人にとっては、とても面倒なことかもしれません。が、一人一人が街を汚さないように心掛けることで、美しい景色を楽しむことができ、快適な旅を満喫することができることを理解してください。

 · 一般的なこと

昔から、日本人は、中国の孔子などの偉人をたいへん尊敬し、その教えを習うことで、マナーを守って安全で平安な国を築くことに努めてきました。日本に教えを伝えてきた偉大な国の人が、マナーを守らないところを見ると、たいへんがっかりします。中国人がマナーを守らないところを見ると、偉大な教えを自ら破り、自分で自分の国のメンツをつぶしているように思えてしまうのです。

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